合成皮革人工皮革用ポリウレタン.pdfVIP

?合成皮革?人工皮革とは 　合成皮革?人工皮革は衣料、靴、 かばんなどのファッション素材や 家具、車両を含めたインテリア素 材としてわれわれの身の回りに多 く使用されており、一般的に使用 される基材の種類と加工方法で区 別される。合成皮革は織布、編布 などの基材と、ポリウレタンから なる接着層および表皮層から構成 される。その加工方法によって、 乾式合成皮革と湿式合成皮革に分 類される。一方、人工皮革は、不 織布とポリウレタンからなるバイ ンダーで構成される。 　合成皮革?人工皮革は、現在は アジア諸国、欧米に加え、オース トラリア、ブラジル、南アフリカ など世界約30カ国で生産されて いる。なかでも、中国を中心とす るアジア諸国では世界の約80％ が生産されているといわれる。 　当社では、本用途で使用できる ポリウレタンを長年開発しており、 数多くの製品をラインアップして いる。本稿では合成皮革?人工皮 革の製造工程および当社製品につ いて紹介する。 ?合成皮革?人工皮革の製造工程 　代表的な合成皮革?人工皮革の 構造を図１に示す。いずれも基材 とポリウレタンの複合材料であり、 これらの製造工程は合成皮革?人 工皮革メーカーで工夫されている。 基本的な製造工程を図２に示す。 　製法別の工程と、得られる皮革 の特徴は以下のとおりである。 ［乾式合成皮革］ 　エンボス柄（絵柄などが浮き彫 りになった柄）を有した離型紙上 に、顔料（トナー）を含んだ表皮層 用ポリウレタン溶液をコーティン グし、乾燥してフィルム化する。 次いで、得られた表皮層用ポリウ レタンフィルム上に、ポリウレタ ン、架橋剤、触媒、溶剤からなる 接着層用ポリウレタン溶液をコー ティングし、織布または編布に圧 着して貼り合わせる。さらに、乾 燥機で接着層用ポリウレタン溶液 三洋化成ニュース ? 2012 春 No.471 横井知身 当社エラストマー研究部 ユニットチーフ [ 紹介製品のお問い合わせ先 ] 当社生活 ?繊維本部繊維産業部 活躍する三洋化成グループのパフォーマンス?ケミカルス 合成皮革?人工皮革用ポリウレタン 96 図２●合成皮革?人工皮革の製造工程 図１●代表的な合成皮革?人工皮革の構造 (出所：太陽光発電協会HPより) トロポニンT 高濃度 ゲル化 ウレタン化反応 〈乾式合成皮革〉 　離型紙　　コーティング　　乾　燥　　コーティング　　圧　着　　乾　燥　　巻き取り　　エージング　　離型紙はく離　　乾式合成皮革 〈湿式合成皮革〉 　　　　　　　　　　　　　　　　離型紙　　コーティング　　乾　燥　　コーティング　　乾　燥　 　 　織布?編布　　　前処理　　　コーティング　　　湿式凝固　　　洗　浄　　　乾　燥　　　圧　着　　　離型紙はく離　　　湿式合成皮革 〈人工皮革〉 　不織布　　含　浸　　湿式凝固　　洗　浄　　乾　燥　　表面研削　　染　色　　スエードタイプ人工皮革 接着層用ポリウレタン溶液 表皮層用ポリウレタン溶液 織布?編布 含浸用ポリウレタン溶液 表皮層用ポリウレタン溶液 接着層用ポリウレタン溶液 ミクロポーラス層用 ポリウレタン溶液 (出所：太陽光発電協会HPより) トロポニンT 高濃度 ゲル化 不織布 （バインダー：ミクロポーラスポリウレタン） 〈乾式合成皮革〉　 〈湿式合成皮革〉 〈スエードタイプ人工皮革〉 表皮層用ポリウレタン 接着層用ポリウレタン ミクロポーラス層用ポリウレタン 織布?編布 の溶剤を揮発させた後、エージン グ（養生）でこの硬化反応を完結さ せる。最後に離型紙をはく離する と、エンボス柄を有する乾式合成 皮革が得られる。 ［湿式合成皮革］ 　基材となるナイロンなどに前処 理＊を施し、その上にミクロポー ラス層（空隙を多数有する多孔構 造のポリウレタン層）用ポリウレ タン溶液をコーティングして、凝 固浴中に浸せきする。この際、ポ リウレタン溶液の溶剤が抽出され、 ポリウレタン樹脂が析出、凝固し て、ミクロポーラス層が形成され る。その後、前述した乾式合成皮 革と同様の表皮層用ポリウレタン フィルムの圧着処理を行うことで 湿式合成皮革が得られる。 　湿式合成皮革が乾式合成皮革よ りも天然皮革に近い柔軟な風合い とボリューム感を持つのは、ミク ロポーラス層が存在するためであ る。 ［人工皮革］ 　人工皮革は、不織布にポリウレ タン溶液を含浸、湿式凝固、乾燥 して湿式合成皮革のミクロポーラ ス層と同様の構造を形成させる。 その後、表面（または片面）を研 削（バフィング）して毛羽立たせ、 最後に染色加工することでスエー ドタイプの人工皮革が得られる。 不織布中にポリウレタンが含有す るために、ポリウレタン特有の弾 力とハリ、コシ感が出